
サラリーマンの出世をというのは、上司の影響を受けます。たとえば、どんどん出世するタイプの上司に好かれていると、引き揚げてもらいやすくなります。一方で、仕事ができない上司の下にいると、成果が上げにくく、評価も得にくくなります。とは言え、上司を批判しても、状況が変わることはありません。
このように悶々としているサラリーマンは多いのではないでしょうか?
この記事では、無能な上司とはどんな人か?そして、無能な上司の下で仕事をする時に、何を考えればいいのかを解説します。
無能な上司とはどんな人?5つのパターン
インターネット上で、「無能な上司」と検索すると、概ね次の5つのパターンが浮かんできます。ちなみに、「無能な上司」と評するのは、部下の立場にいる人なので、絶対的な評価ではないことはご理解いただきたいと思います。
無能な上司1:考え方が古い
自分の経験か価値観を押し付ける上司は、考えが古いと言えます。仕事のやり方はどんどん変化しています。たとえば、かつての営業の現場で、何度も訪問をすることでお客様とのコミュニケーションを取っていました。しかし、昨今では、メールやSNSによるやりとりも活発になっています。こうした場合、受注ができない部下に対して、「訪問していないからだ」と叱咤するのは、考えが古いと評されてしまいます。お客様も忙しくなっている以上、コミュニケーションにも変化があります。部下が受注できない理由は、ツールの問題ではなく、他の部分にあるかもしれません。自分の価値観を押し付けずに、問題を考察する必要があるでしょう。
無能な上司2:仕事を押し付ける
部長から頼まれた仕事を、すぐに部下に投げてしまう課長は、仕事を押し付ける人だと評されます。上司の仕事は仕事を割り振ることだと勘違いしている人は、部下に不満を持たれます。こうした上司が無能だと思われるのは、仕事を作業だと思っているからです。たとえば、売上見込みを部長から依頼された時、部下に数字を集めさせて、集計表だけを作成し、未達予想の報告書を渡したとします。部長は未達を許さないので、月末までに数字を作れと指示を出します。その指示をそのまま部下に伝えたとしたら、部下は仕事を押し付けられたと思うでしょう。
無能な上司3:決断力がない
部下からの提案に決断ができない上司も無能だと思われてしまいます。些細なことであれば、接待交際費。部下が得意先を接待したいと言ってきた時に、費用はいくらでどんな効果があるのかを詳細に聞いたりします。部長に許可を取らなければならない事情はあっても、「自分がなんとかする」と言えない上司は無能だと思われます。
無能な上司4:責任感がない
部下がミスをした時に、「自分の責任ではない」と即座に責任を回避する上司も無能だと思われます。上司や客先への謝罪に関しても、「私が責任を取ります」と「私の管理不行届で」では、ニュアンスが違います。
無能な上司5:仕事をしていない
部下から見て、何をしているのかわからない上司も無能扱いをされます。特に、大企業でラインを外れた人は仕事がないものの、待遇は部下よりも上です。こうした上司がいることは職場のモチベーションを下げてしまいます。
部下が上司に不満を持つポイント
部下が上司に不満を持つ内容を調査したレポートがあります。
先ほどの調査から、改めて部下が不満に思う上司の5位までを紹介します。
マイナビがリサーチしたもので、興味深いデータがわかります。
部下が上司に不満を持つ理由のベスト5は次のようになります。
1位:人として尊敬できない
2位:業務に関する指示・命令が不明確
3位:感情的に怒ることが多い
4位:立場に見合った仕事をしていない
5位:公平な評価ができない
これらは部下の視点の評価ですが、仕事の成果よりも、人となりが評価の対象になっています。
部下の評価を考察すると、
1位:人として尊敬できない
→部下が納得できないことがある
2位:業務に関する指示・命令が不明確
→仕事がやりにくい
3位:感情的に怒ることが多い
→理不尽で話が通じない
4位:立場に見合った仕事をしていない
→仕事をしていないように(見える)
5位:公平な評価ができない
→部下と評価基準が違う、自分の評価が低い
ということです。
他のアンケート結果でも、
1位:無責任なところ
2位:依怙贔屓(差別)
3位:気分屋(機嫌で言うことが変わる)
4位:仕事をしない
5位:セクハラ・パワハラ
6位:人に注意することを自分が出来ていない
7位:細かい
8位:人の気持ちを考えていない
9位:気持ち悪い(言動、見た目など)
10位:嫌味
すべてが人として尊敬できないにつながっていることがわかります。上司が無能になるのは、部下に人間性を評価されていないことが原因なのです。
リモートワークで炙り出された無能な上司
2020年に蔓延した新型コロナウィルスの影響でリモートワークが一気に広がりました。これまで政府が推奨しても全く広がらなかった働き方が広がったのは皮肉です。しかし、ここにきて、無能な上司が炙り出されたのです。
1:ネット環境に弱い
会社にいれば、部下に「これを頼む」ですんでいたことでも、オンライン会議への入室は自分でやらなければなりません。
2:指示に曖昧さ
リモートワークでは、オフィスにいるように部下を呼びつけて、確認や指示を出すことはできません。指示はテキストや音声ツールで行うようになります。こうした場では、曖昧な指示が白日の元に晒されます。結果、部下から「これでいいですか?」「こういう理解でO Kですか?」というレスが目立ち、無能ぶりが目立つようになります。
3:仕事がない
そもそも仕事をしていない人は、ミーティングにも呼ばれませんので、仕事自体がありません。出社して時間を潰すことは仕事のように見えなくはないですが、リモートワークでは、全く何をしているのか不明です。
無能な上司に不満を持ったら、考えてみたい5つのこと
リモートワークによって、無能な上司があぶりだれました。また、コロナウイスル収束後も、効率的であれば、リモートワークは継続されると思います。出社日が減ることで、無能な上司に煩われることがなくなることに安堵している方も多いのではないでしょうか?
しかし、よく考えなければならないのは、いずれ自分も上司の立場になるということです。また、直属の上司ではなく、その上司に問題がある場合、あなたの成長がストップするかもしれません。上司が無能だと感じたら、考えていただきたいことを5つ紹介します。
1:自分の仕事の成果
無能な上司を批判するのは簡単です。人を批判する前に、自分の成果に目を向けてください。作業レベルの仕事をしているのか、部署や会社に貢献しているのかを自己評価します。貢献度が大きな人はきっと誰かが見てくれています。逆に、批判ばかりをしていると、「使えない部下」と評価されているかもしれません。
2:上司もその上の上司の部下である
上司もその上の上司からすれば、部下になります。あなたが上司に不満を持つのと同じく、上司もその上の上司に不満を持っているかもしれません。要は、立場は同じなわけで、同じ立場の人が同じ立場の人を批判するのはおなしなことでもあります。
3:自分が上司になったら?
自分が後輩からどう見られているのか、また自分が上司の立場になった時に、決断力や責任感を発揮できるのかということを考えてください。サラリーマンなら保身も必要です。この時に、自分なら、自分の理想とする上司になれるかどうかを考えてください。
4:成長できる社風か?
会社はトップの意思で動きます。トップの中には理不尽な人もいて、正論が正論として通らないこともあります。こうした組織の場合、出る杭として打たれてしまうこともあります。
5:自分の市場価値は?
最終的には、社内ではなく、労働市場において、どれだけの価値があるのかということです。価値がある人は転職も容易ですし、独立することもできます。上司の無能ぶりを批判するのではなく、自分の市場価値を高めることに注力する方が建設的です。
ピーターの法則
組織においては、ピーターの法則というものがあります。
1:能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。したがって、有能な平(ひら)構成員は、無能な中間管理職になる。
2:時が経つにつれて、人間はみな出世していく。無能な平構成員は、そのまま平構成員の地位に落ち着く。また、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は、無能な人間で埋め尽くされる。
3:その組織の仕事は、まだ出世の余地のある人間によって遂行される。
要は課長に出世した人は、係長としては有能であると評価されましたが、課長としての仕事で評価されていないために、部長になれず、課長に甘んじているということです。
そう考えれば、上司が無能であるのは当然のことだと言えます。
無能な上司に左右されずに、自身の市場価値を高める仕事をすることをおすすめします。
まとめ
この記事では、無能な上司の5つのパターンと無能な上司に影響されない5つの思考法について紹介しました。上司に恵まれるかどうかはサラリーマン生活に大きく影響します。しかし、無能な上司を無能だと批判しても、あなたの評価は上がりません。無能な上司には無能になる理由があるのです。あなたは、無能な上司に振り回されずに、自身の市場価値を高めてください。