デマが広がるプロセスとデマが拡散する3つの公式

社会を混乱させる原因のひとつは、デマや根も葉もない噂が広がることです。

2020年に発生したコロナウィルスの蔓延で、マスクが不足しました。その理由は、中国からの輸入が途絶えたからです。

さらには、トイレットペーパーが品薄になるというデマが広がり、店頭から姿を消しました。トイレットペーパーは国内生産が主流であり、十分な量が確保されていました。しかし、一気に購入されたため、店頭から姿を消しました。在庫があるなら店頭に並べればいいという話ですが、問題は配送だったようです。単価の安い製品は配送コストを抑えるために、トラックのルートを確保しています。運送業界の人手不足でトラックの増便は難しく、コストアップもできないために、店舗ではトイレットペーパーが品切れになったことが原因のようです。

なぜ、人はデマや噂に翻弄されるのでしょうか?

この記事では、デマが起こる理由と広がり方について考えます。

社会を混乱させたデマ

かつてより、人はデマに翻弄されることがあります。代表的な混乱をあげると、

1:トイレットペーパーの買いだめ

1973年(昭和48年)10月16日、第四次中東戦争を背景に、中東の原油産油国が、原油価格70%引き上げを決定したため、当時の田中角栄内閣の中曽根康弘通商産業大臣が「紙節約の呼びかけ」を10月19日に発表した[1]。

このため、10月下旬には「紙がなくなる」という噂が流れ始め、同年11月1日午後1時半ごろ、千里ニュータウン(大阪府)の千里大丸プラザ(現:ピーコックストア千里中央店・オトカリテ内)が、特売広告に「(激安の販売によって)紙がなくなる!」と書いたところ、300人近い主婦の列ができ、2時間のうちにトイレットペーパー500個が売り切れた。

その後、来店した顧客が広告の品物がないことに苦情を付けたため、店では特売品でないトイレットペーパーを並べたが、それもたちまち売り切れ、噂を聞いた新聞社が「あっと言う間に値段は二倍」と新聞見出しに書いたため、騒ぎが大きくなり、騒動に発展した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/トイレットペーパー騒動

2:口裂け女

口元を完全に隠すほどのマスクをした若い女性が、学校帰りの子供に 「私、綺麗?」と訊ねてくる。「きれい」と答えると、「……これでも……?」と言いながらマスクを外す。するとその口は耳元まで大きく裂けていた、というもの[2]。「きれいじゃない」と答えると包丁や鋏で斬り殺される、と続く[3]。

この都市伝説は全国の小・中学生に非常な恐怖を与え、パトカーの出動騒ぎ(福島県郡山市・神奈川県平塚市)や、北海道釧路市・埼玉県新座市で集団下校が行われるなど、市民社会を巻き込んだパニック状態にまで発展した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/口裂け女

3:東日本大震災の風評被害

放射能汚染が深刻化しているということで、福島産の農作物が流通しなくなりました。その後、信頼回復の基盤となったのは、2012年から始まった、“世界一厳しい基準と検査”といわれる、「コメの全量全袋検査」と「牛の全頭検査」です。これにより、放射性物質に関する「食品としての基準値」を超過する恐れが少しでもあるコメや肉については、1袋あるいは1頭たりとも流通させないことを徹底しています。

人を陥れるデマ

特定の個人を陥れるデマもあります。

1:煽り運転の容疑者として実名を晒される

常磐自動車道で悪質なあおり運転傷害事件が起ました。事件をとらえた車載カメラ映像では、容疑者の男が被害者の男性に対してあおり運転を行い数回殴る様子や、男の車に同乗していた女が被害者を携帯電話(ガラケー)で撮影する姿が確認できました。この「ガラケー女」として、無実の女性がインターネット上で実名でさらされてしまったことがあります。

https://diamond.jp/articles/-/215152

2:芸能人中傷被害事件

芸能人中傷被害事件は、お笑いタレントのSさんに対して同人が「女子高生コンクリート詰め殺人事件」(以下、殺人事件)の実行犯であるなどとする誹謗・中傷被害を長期間に亘って受けた事件である

https://ja.wikipedia.org/wiki/スマイリーキクチ中傷被害事件

3:スーパーのデマ被害

香川県内で7店舗を展開するスーパーマーケット「ムーミー」。2週間ほど前から、創業者である会長夫妻が新型コロナウイルスに感染し、隔離されているという「うわさ」がSNSを中心に広まりました。

https://www.ksb.co.jp/newsweb/index/16594

どのようにデマは広がるのか?

デマはなぜ、広まるのでしょうか?

『デマの心理学』(G.W.オルポート:著)によると、

デマの広がり=重要度×曖昧さ

ということになります。

この公式について考えると、

重要度とは、自分の生活における影響を仮定します。

オイルショックはものが不足するという重要性があり、

口裂け女は子どもの安全

原発事故は健康問題

という具合に重要度としては高くなっています。

しかし、

煽り運転

芸能人中傷事件

コロナウイルス

に関しては、個人において重要とは言えません。

なぜ、個人において重要ではないデマが拡散するのでしょうか?

これをどう説明すればいいのでしょうか?

その理由は、社会不安と不満にあると思われます。

人は不安になると、気持ちに余裕をなくします。また、自分のおかれている状況に不満があると、怒りの感情がわき起こります。怒りは自分の正当性を訴えるという感情でもあります。芸能人の中傷事件が起きたのは1999年で、この年の6、7月の完全失業率が史上最悪の4.9%を記録し、300万人を超える失業者が出ています。

この点が個人の生活に重要でないことがデマとして拡散される理由でしょう。

そう考えれば、

煽り運転

芸能人中傷事件

コロナウイルス

は、悪者をこらしめる正義感の表れと考えることもできます。

なぜ、人はデマを信じるのか?

デマの流布の公式は、重要度✖️曖昧さだとすれば、なぜ、曖昧な情報が広がってしまうのかを考える必要があります。

なぜ、人がデマを信じてしまうのか?

たとえば、宇宙人が襲来したという情報を鵜呑みにして、拡散する人は少ないでしょう。基本的には、正常な判断をすることができるはずの人が、デマを信じてしまう理由を考えてみます。

その理由は、曖昧さの中に、信憑性があると仮説を立てることができるでしょう。

トイレットペーパーは、中曽根康弘通商産業大臣(当時)が「紙節約の呼びかけ」をしたことと、スーパーの「紙がなくなる」という張り紙は引き金になりました。

口裂け女は、地方新聞に記事が掲載されました。福島の被害は連日、放射能による汚染がマスコミから報道されました。

信憑性のある情報は、多くの人が事実だと思い込む要因となります。さらに、先入観や自分の価値観を正解だと思い込めば、デマはその人にとって事実になります。つまり、自分の考えと整合性があると真実だと思い込む性質があると考えることができそうです。

なぜ、曖昧な情報がデマとして拡散するのか?

曖昧な情報は広がる理由は、信憑性があるからです。さらに、社会不安が加われば、問題が過大評価されます。過大評価された問題は、不安を増大させ、人の判断を鈍らせます。

元来、人は得をすることよりも、損をすることに敏感であることは、プロスペクト理論で証明されています。

トイレットペーパーがお得では行列ができませんが、品切れになるかもしれないという情報は、人を過激な買いだめに走らせるのです。

加えて、特権意識もデマの流布に影響していると考えられます。自分だけが知っている情報、高度な情報は、人の特権意識を刺激します。特権意識に整合性が加われば、その情報が真実となり、伝えるべき自分という枠組みが出来上がります。

そう考えると、デマが流布される公式は、

1:重要度✖️信憑性+社会不安

2:不満✖️正義感✖️信憑性+社会不安

3:特権意識✖️正義感✖️信憑性+社会不安

となると考えられます。

逆のデマもある

問題を過大評価することで、デマは社会を混乱させますが、過小評価することでも、大惨事を引き起こします。

「正常性バイアス」とは、水害、地震、津波、火災などの危険が目の前に迫っていても、日常生活の延長線上の出来事だと判断し、「自分は大丈夫」「まだ安全」などと思い込んでしまう人間の心理的な傾向を言います。

東日本大震災では、「チリ地震津波のあとにできた堤防があるから大丈夫」と思い込んでいた高齢者が多数犠牲になったとも言われています。

インターネットがデマを拡散させる

インターネットで情報の入手が簡単になりました。同時に個人でも情報を発信することができるようになり、フェイクニュースという造語まで生まれました。

合わせて、SNSによる「シェア」機能で、情報の拡散が容易になったこともデマが流布される理由でしょう。

デマに対応する方法

デマに流されず、自分でも拡散させないために大切なことは、SNSの情報を鵜呑みにしないということでしょう。リンクされている情報を確認し、信頼性のある機関の情報かどうかを確認する必要があると思います。

正義感で情報を拡散しても、その情報が間違いである場合は、名誉毀損で訴えられることもあるのです。

しかし、信頼性のある機関が、情報を操作することもあります。

李医師は昨年12月、2003年の世界的エピデミック(伝染病)を引き起こしたSARSに似た、とあるウイルスによる7つの症例に気が付いた。

同月30日、李医師はチャットグループに入っている同僚の複数医師に対し、アウトブレイクが起きていると警告するメッセージを送信。防護服を着用して感染を防ぐようアドバイスした。

しかしその後、警察から「虚偽の発言」をやめるよう指示された。

https://www.bbc.com/japanese/51409970

中国の勇気ある医師の投稿をどう受け取るのか、ここは私たちの判断能力にかかっています。

信じるな、疑うな、確かめよ

デマの恐ろしいところは、悪意によって広まるのではないということです。時に善意であり、正義感によって誤った情報が拡散してしまうのです。こうしたデマの流布に加担しないために、私たちができることは情報を確かめるということです。

しかし、信頼性のある機関が誤情報を配信した場合、確かめるすべが限られます。このような場合は、どうすればいいのでしょうか?

そのヒントは、断捨離のやましたひでこさんが提唱している「信じるな、疑うな、確かめよ」ということになります。

しかし、確かめる方法が限られている場合、私たちの判断力が試されます。私なりの解釈ですが、「信じるな、疑うな」というのは、物事を受け入れろということだと思います。自分の評価を挟まない。そして、「確かめろ」というのは、自分がどう思うのかと自らに問えということです。

つまり、あるがままに物事を見て、自分がどう思うのかを知れということであり、正解がないことに対する正解は自分の中にしかないということになります。自分の外にある情報を参考にすれども、自ら決断する。確かめるべきは、自分の信念です。

そう考えると、完璧にデマの流布をストップさせることは不可能ですが、拡散させる前に、「考える」というプロセスを経ることで、判断力が養われることがあります。

その情報は真実なのか、

私が拡散させる必要があるものか、

この2つの問いかけだけで、デマの拡散を防止できるのではないかと思います。

SNSにより、情報も拡散は反射神経のように簡単になりました。だからこそ、簡単に拡散させる必要はないのではないでしょうか。

まとめ

この記事では、デマが広がるプロセスを通して、3つの公式について考えました。デマは社会を混乱させ、人々を陥れます。安易な拡散が自分の身に降りかかることもあります。

曖昧な情報に接したら、確かめるということを忘れないでください。それがデマの防止になるのです。

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